月
神の箱庭には、二つの衛生が存在する。
紅い月と、青い月である。
紅い月(Moon)
・紅いガスに覆われているため、紅く見える。
・地表は閑散としていて、月自身の魔力によって形が保たれている。魔界と呼ばれ、魔神が住むが、そのことは知らない。
青い月(Luna)
・地表が無く、水で覆われているため青く見える。
・精霊界であり、西方人の魔力供給源。
・いわゆる、青い月の満ち欠けで精霊の動きが変わる、のはこのため。
・もちろん、本星の人間はこのことは知らない。
紅い月と、青い月である。
紅い月(Moon)
・紅いガスに覆われているため、紅く見える。
・地表は閑散としていて、月自身の魔力によって形が保たれている。魔界と呼ばれ、魔神が住むが、そのことは知らない。
青い月(Luna)
・地表が無く、水で覆われているため青く見える。
・精霊界であり、西方人の魔力供給源。
・いわゆる、青い月の満ち欠けで精霊の動きが変わる、のはこのため。
・もちろん、本星の人間はこのことは知らない。
商業法
商業法(アルマジスティー皇国アイーシャ朝)
・正式な商的手続きにもとづいて行われた契約は、他の法での拘束力を超越することが出来るというもの。
・例とすれば、用心棒に傭兵を雇った場合、雇用者に害するものなら殺人も容認するというもの。
・正式な商的手続きは、第三者の仲介の元行われる。第三者は誰でもよい。
・商業税は100ディナール未満は一律20ディナール。100ディナール以上なら2割。
・1ディナールは20ディルハム。
・1ディナール=金貨
・半ディナール=10ディルハム=銀貨
・1ディルハム=銅貨
・1ディナールはだいたい0,8銖に換算
・正式な商的手続きにもとづいて行われた契約は、他の法での拘束力を超越することが出来るというもの。
・例とすれば、用心棒に傭兵を雇った場合、雇用者に害するものなら殺人も容認するというもの。
・正式な商的手続きは、第三者の仲介の元行われる。第三者は誰でもよい。
・商業税は100ディナール未満は一律20ディナール。100ディナール以上なら2割。
・1ディナールは20ディルハム。
・1ディナール=金貨
・半ディナール=10ディルハム=銀貨
・1ディルハム=銅貨
・1ディナールはだいたい0,8銖に換算
魔界/精霊
■西方弱力化。
・西方人は魔力の器が小さく、東方人は大きいというもの。
・そのため、西方人は精霊を召還し、彼らの魔力を借りて魔術を使う。
■精霊
・青い月に住むエイリアンだが、そのことは誰も知らない。
・月の満ち欠けは、月では夜と昼をもたらすため、一般的に夜はあまり活動しない。
■魔神
・精霊と対になる、紅い月に住むエイリアン。
・魔王を中心とした世界を作っている。
・西方人は魔力の器が小さく、東方人は大きいというもの。
・そのため、西方人は精霊を召還し、彼らの魔力を借りて魔術を使う。
■精霊
・青い月に住むエイリアンだが、そのことは誰も知らない。
・月の満ち欠けは、月では夜と昼をもたらすため、一般的に夜はあまり活動しない。
■魔神
・精霊と対になる、紅い月に住むエイリアン。
・魔王を中心とした世界を作っている。
進め! くじらキュン
友「なんかいいゲーム無い? ちなみに、フルボイス」
榊「脳トレは?」
友「いや、あれはフルボイスじゃないし……」
榊「あ、あれは。DSの喋るお料理ナビとかいうの」
友「女の子、出てこないじゃん」
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Fox
薄青の着物に、赤いスカーフ。
顔を隠す張り子面は、古風な稲荷。
「まさか……」
友紀が青ざめる。
「ひとーつ、人の世の生き血を啜り」
狐面は声高く言う。
高いソプラノボイス。まるで女の声。
「ふたつ、不埒な悪行三昧。みっつ、醜い浮き世の鬼を退治てくれよう、桃太郎。だっけ。白蓮ちゃん」
狐面はそう言って、自らの面を剥ぐようにして取った。
現われたのは、女の顔。
初めて見る顔だが、どこか誰かを彷彿とさせる。
「姉さん……」
友紀がその場にしゃがみ込む。
「お姉さん!?」
なずなが声をあげた。
「そう。小諸彩女。前、沈黙の五芒星の狐面の焔星。今はケルベロスのサードだけど……」
「そういうこと」
いつのまにか、彩女がなずなの横に立っている。
「よろしくね。ホーリー」
顔を隠す張り子面は、古風な稲荷。
「まさか……」
友紀が青ざめる。
「ひとーつ、人の世の生き血を啜り」
狐面は声高く言う。
高いソプラノボイス。まるで女の声。
「ふたつ、不埒な悪行三昧。みっつ、醜い浮き世の鬼を退治てくれよう、桃太郎。だっけ。白蓮ちゃん」
狐面はそう言って、自らの面を剥ぐようにして取った。
現われたのは、女の顔。
初めて見る顔だが、どこか誰かを彷彿とさせる。
「姉さん……」
友紀がその場にしゃがみ込む。
「お姉さん!?」
なずなが声をあげた。
「そう。小諸彩女。前、沈黙の五芒星の狐面の焔星。今はケルベロスのサードだけど……」
「そういうこと」
いつのまにか、彩女がなずなの横に立っている。
「よろしくね。ホーリー」
スピーダー
「どうして、亜里砂さんの攻撃が避けられてるの?」
ヒステリックに叫ぶ葵。
だが、葵が顔を上げると冷や汗をかいている紘平。彼女以上に焦っているようだ。
「加速剤だ」
「スピーダー?」
「ああ、人によってはインドメタシンとか言うけど……」
「それって?」
「なんつうか、視覚的、肉体的双方に素早さを上げられるんだよ。ほら、亜里砂のは攻撃の瞬間が俺らに見えないだろう。例え見えても、動けない」
「つまり、見えるし、動けるって言うこと?」
「そうだ」
「でも、それって大丈夫なの。ごく、少量。時間換算すると10分程度なら大丈夫、何だけど……」
葵は携帯を見る。
戦い初めて、もう三十分が過ぎようとしている。
「あれじゃ、終わった時の反動がすごいんだろうな……」
ヒステリックに叫ぶ葵。
だが、葵が顔を上げると冷や汗をかいている紘平。彼女以上に焦っているようだ。
「加速剤だ」
「スピーダー?」
「ああ、人によってはインドメタシンとか言うけど……」
「それって?」
「なんつうか、視覚的、肉体的双方に素早さを上げられるんだよ。ほら、亜里砂のは攻撃の瞬間が俺らに見えないだろう。例え見えても、動けない」
「つまり、見えるし、動けるって言うこと?」
「そうだ」
「でも、それって大丈夫なの。ごく、少量。時間換算すると10分程度なら大丈夫、何だけど……」
葵は携帯を見る。
戦い初めて、もう三十分が過ぎようとしている。
「あれじゃ、終わった時の反動がすごいんだろうな……」
戦闘と戦闘の間の練習
スピン。
氷上のそれのように、回転して亜里砂は柊の横を通り抜け背後に立つ。
「なっ」
一瞬の出来事だが、すぐさま振り向く柊は、まあ木遁だから流石か。だが、その時には既に亜里砂は二度目の跳躍。
スピンをかけ、全身を雷火にして蹴りを食らわせる。
身構える隙もなく、柊は大きく吹っ飛び、フェンスにたたきつけられた。
「弱いな……」
亜里砂はそう言って、束ねた髪を下ろす。
「あんたが、強すぎ。つうか、早いんだよ」
土管から顔を出した紘平。
「いたのか、紘平」
「いましたとも、お嬢様」
妙にうやうやしく紘平は言って二つの缶コーヒーを出す。
「ホットと冷たい、がありますが。」
「お嬢はやめろ。それと、わたしはクール」
そういって、亜里砂は結露している方の缶コーヒーを取る。
「どうぞ。それより、あれ。どうすんの」
紘平はフェンスに寄り掛かって寝ている柊を指す。
「どうする?」
「どうするって……」
聞き返してきた亜里砂に、紘平は眉をひそめる。
「一応、春だし。そう言う人に、連れて行かれるのもなぁ。お家に返さなきゃけないのかな」
「ここ、飛騨なんですが」
「国境超えて、すぐだろう?」
「うわ、大雑把」
「なにか、喜んで金魚の糞殿は神州まで行って下さると?」
笑顔で亜里砂に詰め寄られ、首を大きく縦振りする紘平。
「その必要はない。もう起きた」
その声に、振り向くと起きあがった柊――と、背後から高速で飛んでくる飛行体。飛行体は柊の後ろに着地し、光る右足で回し蹴りを食らわす。
崩れるように柊の身体は地面に倒れる。
絶技、早天。ショックと雷火を組み合わせた足技で、高速の蹴りとスタンガンのような衝撃で確実に気を失わせる技。一度食らうと、馴れても一時間は目を覚ませない。
「葵っ」
驚いたように亜里砂は声をあげる。
葵はなぜか自信満々の表情で敬礼する。
「おひさです。といっても、紘平さんにはさっき会いましたけど」
「それより、ちょうちょさんはどうだった?」
そう訊ねたのは紘平。
「壊滅。ですかね。木遁本隊が潰しに行ってました。全員捕らえられ、センターに連行されました」
「どういうことだ、紘平」
怪訝そうに亜里砂は訊ねる。
「たまには、お嬢様を出し抜きたいんで。ちょうちょの方に探りを入れてみました」
「全然出し抜けてませんけどね」
「うるさいな」
紘平は葵を睨む。
「まあ、あんたにしてみれば手回しがいいじゃない。これで、万事解決か……」
そう言って亜里砂が大きく伸びをした時。
「偽善面か。反吐が出るな、金魚」
突然、背後からの声。
高めのアルトボイス。
「冥莉」
亜里砂は微笑んで振り返った。
「治ったのか?」
「ああ、完全にな」
「じゃあ、続きをしようじゃないか」
そう言った亜里砂の目は、赤く光る。
氷上のそれのように、回転して亜里砂は柊の横を通り抜け背後に立つ。
「なっ」
一瞬の出来事だが、すぐさま振り向く柊は、まあ木遁だから流石か。だが、その時には既に亜里砂は二度目の跳躍。
スピンをかけ、全身を雷火にして蹴りを食らわせる。
身構える隙もなく、柊は大きく吹っ飛び、フェンスにたたきつけられた。
「弱いな……」
亜里砂はそう言って、束ねた髪を下ろす。
「あんたが、強すぎ。つうか、早いんだよ」
土管から顔を出した紘平。
「いたのか、紘平」
「いましたとも、お嬢様」
妙にうやうやしく紘平は言って二つの缶コーヒーを出す。
「ホットと冷たい、がありますが。」
「お嬢はやめろ。それと、わたしはクール」
そういって、亜里砂は結露している方の缶コーヒーを取る。
「どうぞ。それより、あれ。どうすんの」
紘平はフェンスに寄り掛かって寝ている柊を指す。
「どうする?」
「どうするって……」
聞き返してきた亜里砂に、紘平は眉をひそめる。
「一応、春だし。そう言う人に、連れて行かれるのもなぁ。お家に返さなきゃけないのかな」
「ここ、飛騨なんですが」
「国境超えて、すぐだろう?」
「うわ、大雑把」
「なにか、喜んで金魚の糞殿は神州まで行って下さると?」
笑顔で亜里砂に詰め寄られ、首を大きく縦振りする紘平。
「その必要はない。もう起きた」
その声に、振り向くと起きあがった柊――と、背後から高速で飛んでくる飛行体。飛行体は柊の後ろに着地し、光る右足で回し蹴りを食らわす。
崩れるように柊の身体は地面に倒れる。
絶技、早天。ショックと雷火を組み合わせた足技で、高速の蹴りとスタンガンのような衝撃で確実に気を失わせる技。一度食らうと、馴れても一時間は目を覚ませない。
「葵っ」
驚いたように亜里砂は声をあげる。
葵はなぜか自信満々の表情で敬礼する。
「おひさです。といっても、紘平さんにはさっき会いましたけど」
「それより、ちょうちょさんはどうだった?」
そう訊ねたのは紘平。
「壊滅。ですかね。木遁本隊が潰しに行ってました。全員捕らえられ、センターに連行されました」
「どういうことだ、紘平」
怪訝そうに亜里砂は訊ねる。
「たまには、お嬢様を出し抜きたいんで。ちょうちょの方に探りを入れてみました」
「全然出し抜けてませんけどね」
「うるさいな」
紘平は葵を睨む。
「まあ、あんたにしてみれば手回しがいいじゃない。これで、万事解決か……」
そう言って亜里砂が大きく伸びをした時。
「偽善面か。反吐が出るな、金魚」
突然、背後からの声。
高めのアルトボイス。
「冥莉」
亜里砂は微笑んで振り返った。
「治ったのか?」
「ああ、完全にな」
「じゃあ、続きをしようじゃないか」
そう言った亜里砂の目は、赤く光る。
玻璃(GLASS)(BlogPet)
口論
「お人好しだな。死ぬぞ」
冷笑。
宗一郎は苦虫をかみつぶしたような顔で源一郎を睨む。
「俺は、そうやって人間を拒絶する兄貴のようにはならない」
源一郎はそれを聞いてなお笑う。
「お前の人生だ、好きにしろ」
冷笑。
宗一郎は苦虫をかみつぶしたような顔で源一郎を睨む。
「俺は、そうやって人間を拒絶する兄貴のようにはならない」
源一郎はそれを聞いてなお笑う。
「お前の人生だ、好きにしろ」
玻璃(GLASS)
佐々保隠形百鬼夜行・4章・3話
夫妻は庭を見渡せる一室に入るように指示された。
襖は開いている。
だが、そこには鬼には見えないよう、二重、三重の結界を霜乃が張った。
「さて、やりますか」
霜乃はそう言って、璃凛を見る。軽く頷く璃凛。
「僕は鬼が見えます。でも、あのお侍さんは見えませんから、貴女の見える鬼を彼に教えてやる。いいですね?」
「はい」
璃凛は頷く。
「たぶん、鬼はあなたを狙ってくるはずです。その時は、僕が守りますから、あなたは新田さんに鬼の位置を教えるだけでいい。新田さんもいいですね」
「了解だよ」
新田はそういって、手をひらひら上げる。
「西園寺さん。そうこう言ってるうちに来ました」
璃凛の声に、二人はゆっくりと土倉に視線を移す。
土倉から現われたのは一人の女。
「美人か?」
苦笑いをしながら、新田は言う。
「ええ、とっても」
肌は透き通るように白く、唇は血のように赤い。着物は白いが死装束ではない。普通の着物だが、色がただ白い。布地には白の糸で刺繍も施されているようだ。もっとも、何の柄かは分からない。
その着物は、胸元が極度にはだけていて、妙な色気がある。
「来ますよ」
霜乃はそう言うと、腰に差した扇を取る。
まるで、刀を抜くような仕草だが、実のところ何の意味もない行為だと新田は心得(し)っている。
おもむろに、鬼の口が開く
――私の、子供……
耳を劈くような、悲鳴にも似た声。
「なっ、なんだこれ」
新田が喘ぐ。
「うるさいですよ。新田さん」
「だが、これは……」
「新田さん。こっちに……来ます」
璃凛が叫ぶ。
刹那。
飛ぶように、鬼は大口を開いてこちらへ向かってくる。
「璃凛さん。伏せて」
霜乃は璃鈴を突き飛ばす。それと同時に、やってきた鬼を新田が刀で防ぐ。
「よし、当たった」
噛みつこうとする鬼の歯を新田は刀で受け止める。
「新田さん上等」
そういって、霜乃は閉じた扇を鬼に向ける。瞬間、先端から一筋の光が飛び出て、鬼の顔を貫く。
鬼は大きく仰け反り、その場に倒れ込む。
――私の、赤ちゃん……
嘆きの悲愴な声。
「哀れだな……」
新田がそう言った瞬間
「新田さん。危ない」
その瞬間、大きく新田が後ろに吹き飛ぶ。
「っぐゎ」
「新田さん」
霜乃は振り向こうとしたが足を取られ、背中から地面に激突した。
打ち付けた後頭を持ち上げると、鬼の『うにょり』と伸びた手が霜乃の足首をつかんでいる。
霜乃は短く呪を扇に込めて、腕の手首に振り下ろす。
扇は鬼の白い手を切断する。鬼が断末魔を上げる。切断面から血のような黒い瘴気が吹き出し、霜乃の足をつかんでいたてが朽ちた。
霜乃はすぐさま立ち上がり、扇を開いて鬼に飛ばす。
先端の要が、鬼の胸に刺さるとわずかに叫びを上げて動きを止める。
「新田さん」
「大丈夫だ」
すぐに返答がある。
主人夫妻の部屋のすぐ横の壁に打ち付けられていた新田はよろよろと立ち上がる。
「今行く」
そういって、新田が足を前に出す。
瞬間。
霜乃は叫んだ。
「新田さん、動かないで」
だが、遅かった。
新田はこちらを向いて、足を踏み下ろした。
バキ、と乾いた音。新田の足が何かを踏みつけ、折った。
「えっ」
新田がそこを見ると、矢が折れてた。
短い矢。
長さは二拳分ぐらいしかなく、矢羽も少し小さい。
霜乃が結界を張るために、部屋の四隅に差したもの。
「折っちゃったけど、大丈夫か?」
新田の問いに霜乃は首を振った。
――見つけた
何を。
新田は一瞬そう思ったが、すぐさま部屋の前に割り込む。
既に、鬼は霜乃の扇を払いのけ、こちらに飛んできている。
だが、新田にはそれが見えない。
「璃凛」
「まって、すぐ来る」
新田は構える。
「今」
新田は刀を振り下ろす。
だが、宙をかすめる。
「なっ」
新田は目を見開く。掠めた刀を所在なく持っている。
「囮だ」
霜乃が叫んだ瞬間、背後で轟音が響いた。
おどろいて、新田は振り向く。
屋根が崩れ、鬼がいた。
見えた。
鬼が見える者以外、見えると言うことは鬼が誰かに見せようと働きかけている時だけ。
しかも、鬼は女将の前にいた。
(女将さんは、鬼に弱い)
霜乃はそう言った。だが、霜乃は数珠を渡した。
鬼避けに。
(ガラスの?)
新田はハッとする。
ガラスは脆い。モノの性質というのは、呪術に置いてとても深く関係する。と、霜乃がこのあいだ雄弁に語っていた。
宝石等なら、硬い宝石は、強化などの呪を込めやすく。逆に、脆いモノは、弱体化や壊れやすくするための呪を込めやすい。
ならば、あの数珠は女将の鬼への耐性をより弱くするためのモノではないか。
「だが、何のために」
しかし、新田にそれを考える時間はない。
新田は部屋に飛び込んだ。
夫妻は庭を見渡せる一室に入るように指示された。
襖は開いている。
だが、そこには鬼には見えないよう、二重、三重の結界を霜乃が張った。
「さて、やりますか」
霜乃はそう言って、璃凛を見る。軽く頷く璃凛。
「僕は鬼が見えます。でも、あのお侍さんは見えませんから、貴女の見える鬼を彼に教えてやる。いいですね?」
「はい」
璃凛は頷く。
「たぶん、鬼はあなたを狙ってくるはずです。その時は、僕が守りますから、あなたは新田さんに鬼の位置を教えるだけでいい。新田さんもいいですね」
「了解だよ」
新田はそういって、手をひらひら上げる。
「西園寺さん。そうこう言ってるうちに来ました」
璃凛の声に、二人はゆっくりと土倉に視線を移す。
土倉から現われたのは一人の女。
「美人か?」
苦笑いをしながら、新田は言う。
「ええ、とっても」
肌は透き通るように白く、唇は血のように赤い。着物は白いが死装束ではない。普通の着物だが、色がただ白い。布地には白の糸で刺繍も施されているようだ。もっとも、何の柄かは分からない。
その着物は、胸元が極度にはだけていて、妙な色気がある。
「来ますよ」
霜乃はそう言うと、腰に差した扇を取る。
まるで、刀を抜くような仕草だが、実のところ何の意味もない行為だと新田は心得(し)っている。
おもむろに、鬼の口が開く
――私の、子供……
耳を劈くような、悲鳴にも似た声。
「なっ、なんだこれ」
新田が喘ぐ。
「うるさいですよ。新田さん」
「だが、これは……」
「新田さん。こっちに……来ます」
璃凛が叫ぶ。
刹那。
飛ぶように、鬼は大口を開いてこちらへ向かってくる。
「璃凛さん。伏せて」
霜乃は璃鈴を突き飛ばす。それと同時に、やってきた鬼を新田が刀で防ぐ。
「よし、当たった」
噛みつこうとする鬼の歯を新田は刀で受け止める。
「新田さん上等」
そういって、霜乃は閉じた扇を鬼に向ける。瞬間、先端から一筋の光が飛び出て、鬼の顔を貫く。
鬼は大きく仰け反り、その場に倒れ込む。
――私の、赤ちゃん……
嘆きの悲愴な声。
「哀れだな……」
新田がそう言った瞬間
「新田さん。危ない」
その瞬間、大きく新田が後ろに吹き飛ぶ。
「っぐゎ」
「新田さん」
霜乃は振り向こうとしたが足を取られ、背中から地面に激突した。
打ち付けた後頭を持ち上げると、鬼の『うにょり』と伸びた手が霜乃の足首をつかんでいる。
霜乃は短く呪を扇に込めて、腕の手首に振り下ろす。
扇は鬼の白い手を切断する。鬼が断末魔を上げる。切断面から血のような黒い瘴気が吹き出し、霜乃の足をつかんでいたてが朽ちた。
霜乃はすぐさま立ち上がり、扇を開いて鬼に飛ばす。
先端の要が、鬼の胸に刺さるとわずかに叫びを上げて動きを止める。
「新田さん」
「大丈夫だ」
すぐに返答がある。
主人夫妻の部屋のすぐ横の壁に打ち付けられていた新田はよろよろと立ち上がる。
「今行く」
そういって、新田が足を前に出す。
瞬間。
霜乃は叫んだ。
「新田さん、動かないで」
だが、遅かった。
新田はこちらを向いて、足を踏み下ろした。
バキ、と乾いた音。新田の足が何かを踏みつけ、折った。
「えっ」
新田がそこを見ると、矢が折れてた。
短い矢。
長さは二拳分ぐらいしかなく、矢羽も少し小さい。
霜乃が結界を張るために、部屋の四隅に差したもの。
「折っちゃったけど、大丈夫か?」
新田の問いに霜乃は首を振った。
――見つけた
何を。
新田は一瞬そう思ったが、すぐさま部屋の前に割り込む。
既に、鬼は霜乃の扇を払いのけ、こちらに飛んできている。
だが、新田にはそれが見えない。
「璃凛」
「まって、すぐ来る」
新田は構える。
「今」
新田は刀を振り下ろす。
だが、宙をかすめる。
「なっ」
新田は目を見開く。掠めた刀を所在なく持っている。
「囮だ」
霜乃が叫んだ瞬間、背後で轟音が響いた。
おどろいて、新田は振り向く。
屋根が崩れ、鬼がいた。
見えた。
鬼が見える者以外、見えると言うことは鬼が誰かに見せようと働きかけている時だけ。
しかも、鬼は女将の前にいた。
(女将さんは、鬼に弱い)
霜乃はそう言った。だが、霜乃は数珠を渡した。
鬼避けに。
(ガラスの?)
新田はハッとする。
ガラスは脆い。モノの性質というのは、呪術に置いてとても深く関係する。と、霜乃がこのあいだ雄弁に語っていた。
宝石等なら、硬い宝石は、強化などの呪を込めやすく。逆に、脆いモノは、弱体化や壊れやすくするための呪を込めやすい。
ならば、あの数珠は女将の鬼への耐性をより弱くするためのモノではないか。
「だが、何のために」
しかし、新田にそれを考える時間はない。
新田は部屋に飛び込んだ。
ベルが鳴る 幕が開く
隠形百鬼夜行4章 二話
役者は揃っていた。
舞台は裏の土倉。ここで、全てが始まった。
舞台の前にいる役者は4人、主役の璃凛と、端役でその両親――松波屋の店主夫妻と大旦那。そうすると、悪役にお蓮だが、それは少し可哀想な気がする。
「西園寺さん」
端役――じゃなくて、店主の松波川宗太郎氏がこちらの姿を見つけて駆け寄ってくる。
「どうも」
霜乃が頭を下げると、旦那さんもそれに倣うように頭を下げる。すると、西園寺の斜め後ろにいる侍を見つける。
「あの、この方は?」
「新田さん。佐々保城に雇われてるお侍さんです。雑用に連れてきました」
祓い屋ではあるが、一介の町人の身分でおくびもなく侍を雑用、などという霜乃に旦那さんは顔をしかめる。
「ああ、大丈夫です。口は堅い男ですから」
旦那さんが外面の心配をしているのだと思った霜乃はそう言って、微笑んだ。
「ちょうどいい頃合いですね」
霜乃はそう言って、おもむろに空を見る。
夜空には月はない。
ただ、星が静粛に、そして爛漫と煌めいている。絢爛豪華。これだけの輝きを空は持っている。それは非常に……
「西園寺さん?」
心配そうに旦那さんが声をかける。
どうやら、いつも通り瞬きもせずに空を見たまま固まっていたようだ。
「ああ、大丈夫です。それと、璃凛さんは」
霜乃が訊ねると、旦那さんが言うより先に、女将さんの傍らを離れ璃凛がやって来る。
目隠しをしているというのに、恐れた様子なく、真っ直ぐ歩く姿に霜乃は軽い眩暈をおぼえる。
「どうかしましたか?」
璃凛が訊ねる。
「見えますか」
「ええ」
璃凛は毅然とした様子で肯定する。
「どっちが?」
「どっち?」
璃凛は首をかしげる。
「僕の後ろに、何人見えます?」
「二人。女の人が二人」
璃凛の回答に、霜乃は頭を抱える。
「霜乃、どういう……」
驚いたのは新田の方。霜乃の肩を引き寄せる。
なにせ、自分が立っているはずのところに、女が二人、しかも目隠しされた少女がそういうのだから。
「式です。いつもの人ですよ」
霜乃はこめかみを押さえる。
新田は霜乃の回答に納得したのか、霜乃から手を放す。
「呪字が弱いのか。それとも……。まあ、他に何か見えます?」
「いえ、西園寺さんと後ろの人以外には。父も母も見えません。建物と地面は見えますが……」
「なら、いいか」
霜乃は安心したように、小さく息をついた。
「あの……」
旦那さんが声をあげた。
「何が起こっているのでしょう?」
「世界には陰極と陽極の二つの面があるんです。それが、二つぴったり合わさって一つの世界になります。まあ、時間帯、とくに日と月の関係なんですが――それによってまあ、鬼が見えたり見えなかったり……、って前に言いましたっけ?」
「陽と陰が……、とか何とか?」
「まあ、そうですね。そんなこんなで、まあ、今日は陰の気が強いんで、目隠ししても陰極の世界が見えてしまうんです」
「はぁ?」
「まあ、それはおいておいて。女将さん」
説明するのも面倒なので、話題を変えて、女将に向き直る。
「貴女は、璃凛さんに比べて非常に弱いようですね」
「弱い?」
「ええ、陰極のみ込まれやすい人、って感じでしょうか。とにかく、鬼にとってはいい餌ですから、これを持ってて下さい」
そう言って渡されたのは数珠。
水晶のような、透明の玉の数珠だ。
「ガラスです。暗くて見えませんが、一個一個に気泡で呪文が刻んであるのでそれが、女将さんを守っていてくれるはずです」
「それと、あれだ。退治の様子は見るか、見ないか?」
新田が訊ねる。
「なにが、違うんでしょうか?」
「気分の問題だな。見て、怪異の正体を見るのもよし、気味の悪い化けもんを見ないもよし」
「新田さん。それ、僕の台詞」
霜乃は新田の腰を肘でつつく。
「見ます」
「だそうだ。先生」
新田は霜乃に微笑みかける。
「了解」
役者は揃っていた。
舞台は裏の土倉。ここで、全てが始まった。
舞台の前にいる役者は4人、主役の璃凛と、端役でその両親――松波屋の店主夫妻と大旦那。そうすると、悪役にお蓮だが、それは少し可哀想な気がする。
「西園寺さん」
端役――じゃなくて、店主の松波川宗太郎氏がこちらの姿を見つけて駆け寄ってくる。
「どうも」
霜乃が頭を下げると、旦那さんもそれに倣うように頭を下げる。すると、西園寺の斜め後ろにいる侍を見つける。
「あの、この方は?」
「新田さん。佐々保城に雇われてるお侍さんです。雑用に連れてきました」
祓い屋ではあるが、一介の町人の身分でおくびもなく侍を雑用、などという霜乃に旦那さんは顔をしかめる。
「ああ、大丈夫です。口は堅い男ですから」
旦那さんが外面の心配をしているのだと思った霜乃はそう言って、微笑んだ。
「ちょうどいい頃合いですね」
霜乃はそう言って、おもむろに空を見る。
夜空には月はない。
ただ、星が静粛に、そして爛漫と煌めいている。絢爛豪華。これだけの輝きを空は持っている。それは非常に……
「西園寺さん?」
心配そうに旦那さんが声をかける。
どうやら、いつも通り瞬きもせずに空を見たまま固まっていたようだ。
「ああ、大丈夫です。それと、璃凛さんは」
霜乃が訊ねると、旦那さんが言うより先に、女将さんの傍らを離れ璃凛がやって来る。
目隠しをしているというのに、恐れた様子なく、真っ直ぐ歩く姿に霜乃は軽い眩暈をおぼえる。
「どうかしましたか?」
璃凛が訊ねる。
「見えますか」
「ええ」
璃凛は毅然とした様子で肯定する。
「どっちが?」
「どっち?」
璃凛は首をかしげる。
「僕の後ろに、何人見えます?」
「二人。女の人が二人」
璃凛の回答に、霜乃は頭を抱える。
「霜乃、どういう……」
驚いたのは新田の方。霜乃の肩を引き寄せる。
なにせ、自分が立っているはずのところに、女が二人、しかも目隠しされた少女がそういうのだから。
「式です。いつもの人ですよ」
霜乃はこめかみを押さえる。
新田は霜乃の回答に納得したのか、霜乃から手を放す。
「呪字が弱いのか。それとも……。まあ、他に何か見えます?」
「いえ、西園寺さんと後ろの人以外には。父も母も見えません。建物と地面は見えますが……」
「なら、いいか」
霜乃は安心したように、小さく息をついた。
「あの……」
旦那さんが声をあげた。
「何が起こっているのでしょう?」
「世界には陰極と陽極の二つの面があるんです。それが、二つぴったり合わさって一つの世界になります。まあ、時間帯、とくに日と月の関係なんですが――それによってまあ、鬼が見えたり見えなかったり……、って前に言いましたっけ?」
「陽と陰が……、とか何とか?」
「まあ、そうですね。そんなこんなで、まあ、今日は陰の気が強いんで、目隠ししても陰極の世界が見えてしまうんです」
「はぁ?」
「まあ、それはおいておいて。女将さん」
説明するのも面倒なので、話題を変えて、女将に向き直る。
「貴女は、璃凛さんに比べて非常に弱いようですね」
「弱い?」
「ええ、陰極のみ込まれやすい人、って感じでしょうか。とにかく、鬼にとってはいい餌ですから、これを持ってて下さい」
そう言って渡されたのは数珠。
水晶のような、透明の玉の数珠だ。
「ガラスです。暗くて見えませんが、一個一個に気泡で呪文が刻んであるのでそれが、女将さんを守っていてくれるはずです」
「それと、あれだ。退治の様子は見るか、見ないか?」
新田が訊ねる。
「なにが、違うんでしょうか?」
「気分の問題だな。見て、怪異の正体を見るのもよし、気味の悪い化けもんを見ないもよし」
「新田さん。それ、僕の台詞」
霜乃は新田の腰を肘でつつく。
「見ます」
「だそうだ。先生」
新田は霜乃に微笑みかける。
「了解」
天狗は鞍馬以外にもいる。長野県にだっている
隠形百鬼夜行
四章・一話
鬼は陰に生きる。
新月、それは陽の力を夜へ導く月が消える夜。
「新田さん。思ったより早かったですね」
霜乃は龜吉屋にやってきた新田に声をかけた。
「どこだ」
新田は身構えた。
聞こえたのは、耳慣れた霜乃の声。だが、姿がない。
「ここですよ。どこにいるか当てられたら、十文あげますよ」
姿無き霜乃に、きょろきょろとせわしなく首を回す新田に、苦笑混じりに霜乃は言う。
「ふざけてないで出てこい」
「了解」
このままでは刀を抜かれそうなので、霜乃は屋根の天井から降りてかぶっていた蓑を脱いだ。
「なんだそれ」
新田はようやく安心したように、訊ねる。
「昔、京都にいた時に鞍馬って所の天狗にもらったんです。いいでしょう。もっとも、姿は消せても、気配が消せないんで人間にしか使えないんですけどね」
「お前。時々、突拍子もないな」
「気のせいじゃないですか?」
霜乃はそう言って、蓑を玄関から家に投げ入れる。
「じゃあ、行きましょうか」
「おう」
二人は歩き出した。
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四章・一話
鬼は陰に生きる。
新月、それは陽の力を夜へ導く月が消える夜。
「新田さん。思ったより早かったですね」
霜乃は龜吉屋にやってきた新田に声をかけた。
「どこだ」
新田は身構えた。
聞こえたのは、耳慣れた霜乃の声。だが、姿がない。
「ここですよ。どこにいるか当てられたら、十文あげますよ」
姿無き霜乃に、きょろきょろとせわしなく首を回す新田に、苦笑混じりに霜乃は言う。
「ふざけてないで出てこい」
「了解」
このままでは刀を抜かれそうなので、霜乃は屋根の天井から降りてかぶっていた蓑を脱いだ。
「なんだそれ」
新田はようやく安心したように、訊ねる。
「昔、京都にいた時に鞍馬って所の天狗にもらったんです。いいでしょう。もっとも、姿は消せても、気配が消せないんで人間にしか使えないんですけどね」
「お前。時々、突拍子もないな」
「気のせいじゃないですか?」
霜乃はそう言って、蓑を玄関から家に投げ入れる。
「じゃあ、行きましょうか」
「おう」
二人は歩き出した。
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唄う惑星(ほし) 奏でる大地
キリスト教において、生命の創造を行うのはただ一人の神だけである。
ならば、この戦争で生命を創造した、ただ一人の学者は神なのだろうか?
最低戦争。
後にそう呼ばれるこの戦争は、ロボットと人間の戦いである。
歴史的に見ても、支配されるものが、支配するものに対し反旗を翻したことはよくある。フランスで起こり、その後各地に飛び火した独立戦争もその一つ。
そして、いつの世もその戦争の勝者は『支配されるもの』である。
例のごとく、その戦争でも人間は劣勢に立っていた。
何しろ、そのころの人間の兵器といったら、全てと言っていいほどがコンピューター制御。つまり、敵なのだ。
もしそれらを使おうものなら、途端に同士討ちを始め部隊は壊滅してしまう。
残された武器は、原始的な拳銃か刀剣。
だが、光線銃でも貫けないそうこうを持ったロボット達を相手に、そんな物はおもちゃ程度の意味しかなかった。
人間は次第に追いつめられ、地下に潜る。
人間劣勢で始まった最低戦争。
しかし、戦争の勝機が見え始める。
日本の学者、長谷川らのチームが強化人間兵、いわゆる『ホムンクルス』を製作する。
『ホムンクルス』はロボットと互角に戦うために作られたバイオ兵器。姿形は人間に似ているが、強化された筋肉と骨格を持ち、固いロボットのそうこうを破り破壊することが可能である。
初期生産で『ホムンクルス』は500体作られ。最前線に投入された。
その効果は計り知れなく、撤退の連続であった攻防に初めての黒星を上げた。
その後、『ホムンクルス』は大量に生産され、次々に成果を上げた。
そして、後続機であるリザードマンタイプ『スパルトイ』や、超能力研究と合同で作られた、ESPタイプ『ウィザード』。さらに、ホムンクルス専用の戦闘機とも言えるバイオ兵器『ヌエ』や『ドラゴン』などが作られ大きなそれらの貢献によって最低戦争は終わる。
しかし、終戦後。
荒廃した大地と共に、大きな問題が降り注いだ。
兵器の処分である。
戦争によって作られた人型ホムンクルスは1万。獣型や植物型を入れると、相当の数になった。
植物型は大した問題もなくほとんどを処分できたが、獣型、人型については物議が醸し出される
彼らは人工に生み出された物とは言え、生命体である。それを、終戦を契機にすべて処分しろ。というのはあまりにも問題がありすぎる。
しかし、兵器と共存できるか。そう言われて、首を縦に振る者はいない。
さんざんな物議の後、導き出された結論。
それは、その年に帰還したヴォイジャーによる賜物であるが、とにかく、人間が居住可能な惑星が見つかったのである。
それによって、紛糾していた全ての問題が片付いた。
彼らをその惑星に移住させればいいのである。
ホムンクルス全てを移送する宇宙船はなぜか簡単に作れた。
H・Dもなぜか既に完成していた。しかしながら、この計画によって地球という星は一文無しになったが、彼らはその星を目指して消えた。
地球から遠くに。
箱船。アメノトリフネ。まあ、色々となのあるその船がどうなったかは、多くは言わない。
無事にその星に付けたことだけは確かなようだ。
と、若き天才道士は久那の大地で思った。
宰相
「問題などない。騎士だとは言え、所詮奴らは軍人にしかすぎぬ。軍人は我々、貴族の手駒でよい」
「しかし、アルベール宰相。そんなことをしたら、奴らは……」
「騎士は王国に忠実であれ。そう誓っている。嫌だとは口が裂けても言えぬ。いや、言わせぬ」
高圧的なアルベールの態度に、周囲は息を呑む。
「しかし、女王陛下がそんなことをお許しに」
「しかし、しかしと、うるさいぞ。ギルバート。『お許しになるでしょうか?』だと。ならないなら、許す者を王位につければいい。所詮、女王だ。男王が王位につくことになれば犯行できん。前の王弟の末の子息がよかろう。全く、赤い目の女王など王位につけるもんでないわ」
「宰相……?」
「今こそ、我々黒い目がこの国の主君であるということを知らしめてやる」
「しかし、アルベール宰相。そんなことをしたら、奴らは……」
「騎士は王国に忠実であれ。そう誓っている。嫌だとは口が裂けても言えぬ。いや、言わせぬ」
高圧的なアルベールの態度に、周囲は息を呑む。
「しかし、女王陛下がそんなことをお許しに」
「しかし、しかしと、うるさいぞ。ギルバート。『お許しになるでしょうか?』だと。ならないなら、許す者を王位につければいい。所詮、女王だ。男王が王位につくことになれば犯行できん。前の王弟の末の子息がよかろう。全く、赤い目の女王など王位につけるもんでないわ」
「宰相……?」
「今こそ、我々黒い目がこの国の主君であるということを知らしめてやる」
計蒙国
計蒙国は楊国の南にある。
この国は竜人(スパルトイ)の建てた国である。故に、この国を治める者も、国民も全てスパルトイ。楊国でスパルトイのことを計蒙人というのもそのため。
国交は特に閉鎖しているわけではないが、物好きな人間以外は特に立ち寄る者もいないため、国内はスパルトイしかいない。
だから、人間の男女が二人、市場を歩いているととても目立った。
「なんか、こんな所に来ると、人間の繁栄ぶりが異常に見えますね」
そう言ったのは女の方。
醒めるような金髪に分厚い丸眼鏡をかけている。きっと、眼鏡を取れば美人なのだろうが、眼鏡のせいで地味に見える。
「確かにな。人間以外に、種族としてこれだけの規模の国家を持っているのはスパルトイだけだしな」
男も賛同したように言う。
こちらは、金髪の女とは真逆の派手めな優男風の青年。
東方人のようで、黒髪に黒い目を持つ。それと、腰にはアイーシャ製の飾り刀が下げられている。
「久那の朔夷は?」
「アレは多種族による連合国家だな。首長国か?」
「なるほど……」
女は興味深げに頷く。
「それより、今晩の宿はどうするか。相場とかよく分からないしな……」
「イルルさんか、ジークさんを連れてくればよかったのに」
女は不機嫌そうに男に言う。
「だって、サラがとか、太子が……とか言って付いてきてくれなかったじゃん。まったく、イルルめ。そんなに我が妹が大事か」
「うわ、ロリコンがいる」
女は冷笑を浮かべて、男を見る。
「大丈夫だよ。僕は君しか見えてないから」
「寝言は寝ていって下さい」
「じゃあ、寝言で愛の告白を聞かせてあげるよ。夜に」
「部屋、別にしますから」
「じゃあ、夜這いを……」
「しなくて結構です」
女は冷たくあしらって人混みを進む。
「ああ、ちょっと待ってよ」
男が言うが、女は小走りに進んでいってしまう。
ただ、追いかけるだけ。
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この国は竜人(スパルトイ)の建てた国である。故に、この国を治める者も、国民も全てスパルトイ。楊国でスパルトイのことを計蒙人というのもそのため。
国交は特に閉鎖しているわけではないが、物好きな人間以外は特に立ち寄る者もいないため、国内はスパルトイしかいない。
だから、人間の男女が二人、市場を歩いているととても目立った。
「なんか、こんな所に来ると、人間の繁栄ぶりが異常に見えますね」
そう言ったのは女の方。
醒めるような金髪に分厚い丸眼鏡をかけている。きっと、眼鏡を取れば美人なのだろうが、眼鏡のせいで地味に見える。
「確かにな。人間以外に、種族としてこれだけの規模の国家を持っているのはスパルトイだけだしな」
男も賛同したように言う。
こちらは、金髪の女とは真逆の派手めな優男風の青年。
東方人のようで、黒髪に黒い目を持つ。それと、腰にはアイーシャ製の飾り刀が下げられている。
「久那の朔夷は?」
「アレは多種族による連合国家だな。首長国か?」
「なるほど……」
女は興味深げに頷く。
「それより、今晩の宿はどうするか。相場とかよく分からないしな……」
「イルルさんか、ジークさんを連れてくればよかったのに」
女は不機嫌そうに男に言う。
「だって、サラがとか、太子が……とか言って付いてきてくれなかったじゃん。まったく、イルルめ。そんなに我が妹が大事か」
「うわ、ロリコンがいる」
女は冷笑を浮かべて、男を見る。
「大丈夫だよ。僕は君しか見えてないから」
「寝言は寝ていって下さい」
「じゃあ、寝言で愛の告白を聞かせてあげるよ。夜に」
「部屋、別にしますから」
「じゃあ、夜這いを……」
「しなくて結構です」
女は冷たくあしらって人混みを進む。
「ああ、ちょっと待ってよ」
男が言うが、女は小走りに進んでいってしまう。
ただ、追いかけるだけ。
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魔術談義(BlogPet)
魔術談義
魔術はその8割が、ジンクスと自己暗示と気のせいで出来ている。
――中略
つまり、魔術とは決断を迫られた時に嫌が応にも、背中を押してくれるものである。
その先が、深い崖か平坦な道かは知らない。
妹と先生
木陰がさらさらと風に吹かれて啼いている。
南方苛烈は久那全体で見ればまだ涼しい方だが、北方三玉で育った沙椰にしてみれば相当暑いから、木陰に座ってぼけーっとしているしかない。
「小野師範。掛かりませんね」
とろーん、とした口調で沙椰が言った。暑さで口調が溶けているのだろう。
「そうですねぇ」
そういう、小野も相当参っている。小野は比余国の北の出身だが、長い朔夷での生活に暑さに弱くなっている。
小野がそう思っていると、鹿鳴館の扉がわずかに動いた。
半開きの窓から顔を半分だけ出す男の姿。
――銀毛の狐。
小野は即座にそう判断した。人型でも最近は種族が分かるようになっている。
「沙椰。動きがあった。銀毛の狐。尾は五だ。該当は?」
「呉狛ですね。麗亀党の党首の従者です。やっぱり、鹿鳴党に麗亀党が出入りしてたんだ」
「それだけだといいがな……」
「それだけ、というと?」
「場所が王囲だからな。王囲の急進派がうごいていると辛いなと……。武力が内に向かうのは王としても問題ないだろうが、外に向かうと厄介だな」
北部苛烈、その名の由来は軍事的に苛烈だということ。
赴任する按司はほとんどが現役、元武官。しかも、炎伐学派の学士。ヘタをすれば、北部の三国で久那を勝手に攻めようとまでする危ない連中。
それでも、それが今までないのは王が兵や武器の流用を制限しているためである。
しかし、もし鹿鳴党、麗亀党などの武闘派集団と結託すれば、人員も武器も宗円に攻め上るぐらいは確保できる。
「どうしますか?」
「考え中」
そういいいながら、小野は爪を噛む。
沙椰が見上げる中、突然膝を叩き、よし、の声と共に木から飛び降りる。
「華布と和宝。どっちに行きたい」
「私、和宝です」
沙椰は間髪入れずに答える。
「だろうね。君は王府にって王にこのことを伝える。僕は華布にいくから。それと、沙椰は王を攫ってきて」
「えーっと。王にこのことを伝えて、秘密裏に王を連れ出せばいいんですね」
「うん」
「このことは王以外には?」
「紗來と、あとは覇厳かな。紗來には郁葩に口止めね」
「了解です」
続きを読む..
南方苛烈は久那全体で見ればまだ涼しい方だが、北方三玉で育った沙椰にしてみれば相当暑いから、木陰に座ってぼけーっとしているしかない。
「小野師範。掛かりませんね」
とろーん、とした口調で沙椰が言った。暑さで口調が溶けているのだろう。
「そうですねぇ」
そういう、小野も相当参っている。小野は比余国の北の出身だが、長い朔夷での生活に暑さに弱くなっている。
小野がそう思っていると、鹿鳴館の扉がわずかに動いた。
半開きの窓から顔を半分だけ出す男の姿。
――銀毛の狐。
小野は即座にそう判断した。人型でも最近は種族が分かるようになっている。
「沙椰。動きがあった。銀毛の狐。尾は五だ。該当は?」
「呉狛ですね。麗亀党の党首の従者です。やっぱり、鹿鳴党に麗亀党が出入りしてたんだ」
「それだけだといいがな……」
「それだけ、というと?」
「場所が王囲だからな。王囲の急進派がうごいていると辛いなと……。武力が内に向かうのは王としても問題ないだろうが、外に向かうと厄介だな」
北部苛烈、その名の由来は軍事的に苛烈だということ。
赴任する按司はほとんどが現役、元武官。しかも、炎伐学派の学士。ヘタをすれば、北部の三国で久那を勝手に攻めようとまでする危ない連中。
それでも、それが今までないのは王が兵や武器の流用を制限しているためである。
しかし、もし鹿鳴党、麗亀党などの武闘派集団と結託すれば、人員も武器も宗円に攻め上るぐらいは確保できる。
「どうしますか?」
「考え中」
そういいいながら、小野は爪を噛む。
沙椰が見上げる中、突然膝を叩き、よし、の声と共に木から飛び降りる。
「華布と和宝。どっちに行きたい」
「私、和宝です」
沙椰は間髪入れずに答える。
「だろうね。君は王府にって王にこのことを伝える。僕は華布にいくから。それと、沙椰は王を攫ってきて」
「えーっと。王にこのことを伝えて、秘密裏に王を連れ出せばいいんですね」
「うん」
「このことは王以外には?」
「紗來と、あとは覇厳かな。紗來には郁葩に口止めね」
「了解です」
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こんな榊原の日常
Case1
榊原「教科書忘れたんだけど、貸して。古典」
友人「いいよ。そのかわり奢って」
榊「分かったよ。なにを?」
友「ゲームソフト」
榊「驕ってるだろう」
奢る(おごる)→飲食などを振る舞うこと。
驕る(おごる)→思い上がった行動を取ること。
Case2
友人2「あれ、榊原。久し振り。ズズー(ストローでパックのジュースを飲む音)
榊原「いや、毎日学校来てるし」
友「でも、講座違うし。あったのは久し振りじゃねえ? ズズー(ストローでパックのジュースを飲む音)」
榊「うん。今まで無視してたから」
友「最悪。ズズー(ストローでパックのジュースを飲む音)」
榊「冗談だし」
友「分かってるよ。ああ、このジュースのパック捨てといて」
榊「冗談じゃねぇ!!」
榊原「教科書忘れたんだけど、貸して。古典」
友人「いいよ。そのかわり奢って」
榊「分かったよ。なにを?」
友「ゲームソフト」
榊「驕ってるだろう」
奢る(おごる)→飲食などを振る舞うこと。
驕る(おごる)→思い上がった行動を取ること。
Case2
友人2「あれ、榊原。久し振り。ズズー(ストローでパックのジュースを飲む音)
榊原「いや、毎日学校来てるし」
友「でも、講座違うし。あったのは久し振りじゃねえ? ズズー(ストローでパックのジュースを飲む音)」
榊「うん。今まで無視してたから」
友「最悪。ズズー(ストローでパックのジュースを飲む音)」
榊「冗談だし」
友「分かってるよ。ああ、このジュースのパック捨てといて」
榊「冗談じゃねぇ!!」



